子供と大人の狭間で葛藤する19歳の世界観を、えげつないほどリアルに繊細に描いた漫画。

『ヒメゴト~十九歳の制服~』

これは一言、やばい…エグすぎる!!!

主人公は、19歳の大学生たち。

男勝りをこじらせた男装女子

15歳に興じる売春少女

憧れの女の子を完全コピーする女装男子

彼女たちが繰り広げる、歪で複雑な三角関係にザワめきがとまりません。こんなにも緻密な恋愛ストーリーを考えた作者さんは本当にすごい…

読み始めたら最後、「続きは今度」はないものと覚悟してください笑

ここが魅力『ヒメゴト~十九歳の制服~』

  • ・ストーリーがかなり緻密に練り込まれていて、素直に面白い!
  • ・セクシャルマイノリティの設定にも、心理描写が丁寧なので感情移入してしまう。
  • ・絵が綺麗で読みやすい(際どい描写も不快感がないので安心)

ヒメゴト~十九歳の制服~のあらすじ

19歳男女の、絶対に明かせない“ヒメゴト”をめぐる物語。

彼女たちのヒメゴトとは、性に関する「ヨクボウ」。

そこまでむき出しでくる?ってくらいに赤裸々です。

単なる性欲うんぬんの問題ではなく、自分がどのように「生きたいか」そんな話に結びついてゆきます。

「男勝り」をこじらせた男装女子・由樹(ユキ)

ボサボサの髪に飾り気のない服で周囲から男っぽくみられている女子大生。実は「普通の女の子」に憧れています。

自然体だった「男キャラ」にいつしか演技が混じり、19歳の今、自分に違和感を感じていたのでした。

私の周りにもいました、イケメン女子。「いけめん~」なんて褒め言葉で使っていましたが、心の底では嫌だったのかな・・・

男っぽい自分と決別すべく知り合いのいない大学に入学するも、幼馴染の予想外の存在で、うまく踏み切れず・・・。

悶々と苦悩するユキは「女性であること」を自覚するため、唯一持っているスカート、高校の制服を着てひとり行為にふけるのです。

「15歳」に興じる売春少女・未果子(ミカコ)

どこぞの箱入り娘か!と思うほどの清楚な天然美少女。

そんな天使のような容姿とは裏腹に、夜はセーラー服の女子高生として売春、男を騙し見下すことに快感を得ています。

19歳になっても、15歳の女の子として男を騙しきることで、自分が「高い価値」であることを証明し続けたいヨクボウに囚われています。

「憧れの女の子」を完全コピーする女装男子・佳人(カイト)

校内屈指の美青年として女子に人気者のカイトですが、実は女装が趣味。美しさに異常な執念を燃やしており、憧れのミカコと一体化するため、ミカコの全身コピーで女装します。

ミカコと映し鏡のようにセックスしたい。それで自分の美しさを肯定したいというヨクボウを持っていますが、可愛く女装できる年齢に限界を感じている19歳の今、女の子としての余命の短さに焦りを感じています。

歪な三角関係

ユキは夜の渋谷でミカコに女装したカイトと遭遇、秘密を知ってしまいます。

それをキッカケに、二人は互いにとって初めての“女友達”に。互いに大切な存在と思い合っているものの、次第に二人の間には温度差が生まれてゆきます。

ユキはカイトに親しみを超えた恋愛感情をいだき始めますが、カイトはユキの気持ちに気付きながらも、ミカコとの仲を取り持つようあえて協力させるのです。

一方、ミカコは、男嫌いゆえに、純朴な少年さを持つユキを心酔し、異常な愛情を向けます。ユキはそんなミカコの気持ちに応えるフリをして、ミカコとカイトを近づけないようにします。

女の子になりたい本心を殺して、ミカコがのぞむ「男の子」を再び演じ始めたユキ。それがカイトへの恋心ゆえというのが歯がゆい・・・

3人は、それぞれ絶妙な勘違いをしながら、話は進んでゆきます。

ヒメゴトだったはずの「ヨクボウ」は、次第に膨れ上がり、とうとう一人ではコントロール不能になってゆきます。

最後、事件に発展し…!?

読み終えた感想

大人になるってこいういこと?

大人を目前にした彼女たちは必死です。

面白いのが、20歳になったらこの世の終わりみたいに思ってるところ。

でも、少しその感覚はわかるなーと。

ユキのように、自分だけ取り残されて周りがどんどん大人になってゆく焦りだったり、カイトのように20歳になったら急に老けたように感じたり・・・

今思えば20歳、なんてことも無いただの通過点なのに、とんでもないイベントみたいに思えちゃう。

私も「20歳なんておばさんー」なんてほざいてましたね・・・

彼女たちの「ヨクボウ」とは、結局は過去の産物なんですよね。

過去の経験やトラウマから形作られたヒメゴトは、雪だるまが坂を転がり落ちて行くみたいにどんどん巨大化、19歳でとうとうピークに達してしまいます。

ユキも、カイトも、ミカコも、その重さに耐えきれなくなり、自分ごと堕ちていきそうになるんです。

彼女たちは、それぞれの「ヒメゴト」と決別もしくは、うまく飲み込んで昇華できるのか・・・?それこそ19歳に課された大人になるための試練なのかもしれません。

ぜひおすすめしたい漫画です

1~8巻まで、一瞬も間延びすることなく、かなり濃かった!!

内面もむき出しで、三角関係は相当ドロドロでしたが、最後は気持ちよく終われました。

3人は、それぞれ前に進むことができるのか?

ぜひご自身の目で見届けてください!

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  • ヒメゴト~十九歳の制服~/
  • 8巻完結/
  • 峰浪りょう