売れない小説家と謎の5人の女たちの共同生活。
女たちが毎月100万円支払う代わりに、女たちの世話をする・・・なぜ?
100万円、死刑囚の父、謎の女たち・・・危険な匂いしかしない(笑)謎が謎を呼ぶストーリーにどんどん引き込まれました〜!
4巻という短編ながらも、ミステリーとしてかなり読み応えあり。ラストの展開に賛否両論ある本作ですが、読めば読むほど深い。はっ…!とさせられます。
今回は『100万円の女たち』あらすじと感想です。(重要なネタバレは伏せていますが、ストーリー展開に必要な最低限のネタバレは含みます。)
目次
ここが魅力『100万円の女たち』
- ★謎が謎を呼ぶ展開に読み出したら止まらない。
- ★死とエロが漂う謎めいた女たち。
- ★ミステリーとしてかなり読み応えがある。
共同生活が奇妙すぎる
道間 慎 は、売れない小説家。ボーッとした冴えない感じの男です。
そんな道間の家に「招待状」を受け取ったという5人の女たちが突如住み始めます。
誰かに仕組まれた共同生活に、戸惑と恐怖を感じる道間でしたが、月500万円の収入と女たちとの生活に、徐々にやすらぎを感じ始めます。
そんな状況が続く訳がなく・・・
女たちの「素性」が謎
鈴村 みどり
17歳。高校生。
小林 佑希(ゆき)
24歳。日中自室にこもっている。
塚本 ひとみ
26歳。リビングでヨガをするのが日課。
開(ひらき)菜々果
20歳。つかみどころがない。
白川 美波
30歳。家では全裸。
共同生活の「ルール」が謎
- ・女たちが毎月現金100万円支払う代わりに、家主が女たちの世話をする。
- ・女たちに質問してはならない。
- ・夕食は6人全員で食べる。
共同生活の「目的」が謎
- ・女たちが道間の家に住んでいる理由は?
- ・女たちはどうやって100万円を用意している?
- ・招待状の送り主は?
父親は母親殺しの死刑囚
道間の父親は、3人の命を殺めた殺人犯であり、死刑囚。被害者は、自分の妻と妻の不倫相手、その場に居合わせた警察官の青年でした。
事件の影響で、道間の小説で人が死ぬことはありません。
家には、毎日のように中傷FAXが届いていました。日常の風景と化してはいるものの、道間に暗い影を落としていました。
女たちの正体
女たちの素性は、話が展開するにつれて徐々に明らかになってきます。
女たちがどのように100万円を用意し、何を目的に道間の家に集まったのか・・・
道間に対して、各々思うことがあるようで。愛か尊敬か無関心か、それとも…?
奇妙なほど売れてゆく小説
道間の新刊小説『漂う感情』が発売されました。
道間の編集担当である桜井は、腕の見せ所とばかりに、
「僕にいろいろ作戦があるんで、期待しといてください」
『 100万円の女たち 3巻』
とやけに張り切っていて・・・
桜井の宣言通り、道間の小説は売れまくるのですが、同時に道間の周囲で不可解な事件が起こり始めます。
この桜井という男がどうにもクサイ。なにか良からぬことを企んでいるような・・・
「文学賞」受賞
『漂う感情』が日本優秀文学賞を受賞し、初版3千部からの20万部の緊急重版が決定。
道間は作家として注目を集めます。
実は『漂う感情』は、最終選考会で最終候補にもあがっていなかったのに、何故…??
スキャンダルで大炎上
受賞記者会見で父親が死刑囚であることを問い詰められた道間。とうとう白日の下に晒されてしまいます。
芋づる式に女たちとの共同生活も暴かれ、シェアハウスは騒々しくなっていました。
さらに、人気女優と道間の路上キスがスクープされ、道間の知名度はいっきに上昇。その影響で『漂う感情』は60万部を突破していました。
人気女優とのスキャンダルも、第三者に仕組まれたことで・・・
浴室で密室殺人事件が発生
数日後の早朝、シェアハウスの浴室で刺殺遺体が発見されます。
なんと犠牲者は女たちのうちの一人!
事件の朝、いつもの中傷FAXとは違う意味深なメッセージが届きます。
本当の償いの始まりです(笑)
『 100万円の女たち 3巻』
事件によって『漂う感情』の販売部数は100万部を超えていました。
このあたりから、ググッと緊張感が増してきます。怖くないですか…?もう先が気になりすぎてページをめくる手が止まりません!!
真犯人と招待状
女たちの中に、独自の裏ルートから事件を調査し、真犯人にたどり着いた人物がいました。
「私たちをこの家に呼び寄せた人間よ。
「招待状」の送り主こそが真犯人…」
『 100万円の女たち 3巻』
二人目の犠牲者
数日後、道間の家が全焼し、中から女の焼死遺体が発見されました。
真犯人を見抜いた彼女は、一人で真犯人に挑んだ末、殺されてしまったのです。
共同生活は女たち二人の死をもって終わったのでした。
「招待状」の中身
共同生活の崩壊後、家のルールが無効になったので、道間は「招待状」の内容を知ることになりました。
「招待状」には、いくつか入居条件が。その中には
命を失う可能性がある。
女たちは高額な家賃を支払いながら、命をかけて住み続けていたのでした。
命を失う可能性があって、家賃100万円のシェアハウスに住む女たちも、その女たちを集めた真犯人も、目的は何だったのか・・・
真犯人
道間は真犯人にたどり着きます。
真犯人はかなり意外な人物でした。その動機はうん、まあ・・・賛否両論ありますね。
私は、自分の出世のために本を売りたい桜井こそ真犯人だ!と踏んでいたのですが・・・ミスリードに完全にハマっておりました。(恥ずかしい)
真犯人の正体、ぜひご自分の目でご確認ください!
道間に恨みを持つ人物?
それとも出版関係者?
もしくは女たちの中に・・・?
結末とエピローグの謎
真犯人とその目的が判明した後、結末とエピローグには、衝撃の展開が待っています。犯人への復讐、道間や女たちのその後が主な内容になります。
ところが新たな謎が残され、モヤモヤとしたまま完結・・・。
『100万円の女たち』は4巻という短編ながらも、かなり重厚なストーリーです。ただ、はっきりと描かれていないために、ピンとこない部分が多いことも事実・・・
実際に作品を読んでみて「面白かったけど、結局何だかよくわからなかった・・・」という方は、『100万円の女たち』結末とエピローグに残された2つの謎について考察してみたので、ぜひご覧ください!
続けて読みたい:100万円の女たち【考察】結末とエピローグの謎を解明!1巻に伏線セリフがあった!?
- 100万円の女たち/
- 4巻完結/
- 青野春秋